後見人ケース事例
今回は、後見人が必要となる具体的なケースなどについて紹介させて頂きます。
■「夫が妻の」/「妻が夫の」の後見人になる場合
以下のようなケースに対して、どのような問題が生じるか見ていきます。
・夫/妻が認知症になった
・介護に疲れ、このままでは夫婦共倒れの危機
・夫/妻を施設に入居させたい
(問題点)
・施設の入居に際して、夫/妻が相手名義の預金からお金を引き出したい。
→不可。
たとえ夫婦でも、銀行が夫/妻が認知症であるというその事実を知れば口座取引を
「大幅に制限」するので払出しが出来なくなります。
委任状を用意していても、窓口で手続き時に電話で本人に対して意思確認を行うケースもありますので
本人の同意が得られなければ違法行為となってしまうのです。
※ 振込や払出しはもちろんですが、その他、定期預金の解約・契約、カード・通帳等の紛失・再発行、
口座振替、投資信託の購入・解約、融資や借換等の手続きができなくなります。
物忘れ程度で、ある程度の判断能力があれば”委任状”で事足りるのですが、家族そのものの存在の記憶も
曖昧になってしまっていると、財産管理上、後見人の手続きが必要となります。
妻/夫が相手のお世話(財産管理・身上監護)を継続して行なう意思がある場合は、妻/夫が後見の
申立てすることで、法定後見人に選任されることができます。
■ きょうだい間の仲が悪い場合、親の後見人は誰に?
以下のようなケースに対して、どのような問題が生じるか見ていきます。
・父は亡くなっており母が認知症になった
・母の通帳は長男(兄)が預かっているが、母の面倒はまともに見てくれていない
・長女は嫁いでいるが頻繁に母の様子を見に来ており、長男である兄が母のお金を使い込んでいることを心配している
(問題点)
・子ども達は母親の近くで暮らしているが、親本意の財産管理はなされておらず、兄妹間の関係も良好と言えない。
認知症の進行や、高齢に伴い将来的に施設に入るとか、病気になるとか、もしもの時に使えるお金がなくなってしまうかもしれない。
このような場合では、財産管理上、「弁護士」などの専門家による後見人の手続きが最善と言えます。
※ 子供たちの間で、親の財産や介護の方法を巡ってトラブルがあると、子供たちは通常、後見人には選ばれません。
子供たちが、自分の息のかかった弁護士を後見人に推薦する場合も同様で、どの子供とも利害関係のない中立の
弁護士などが後見人に選任されることがほとんどです。
≪予備知識≫
成年後見人をつけたい場合、本人の住所地を管轄する「家庭裁判所」に成年後見開始の審判の申立てをします。
この申立てをすることができるのは、『本人、配偶者、四親等内の親族』などに限られています。
たとえば、【おじ・おば、おい・めい、いとこ】は、「四親等内の親族」に当たるので申立てをすることができます。
また、親族がいない、居ても遠方にいる、あるいは申し立てることを拒否する等の場合は
「首長申立て」という公的に支援する制度があります。
本人が居住する地域の首長(市区町村長)が、制度利用を申し立てることができますので
お住まいの市区町村役場や、社会福祉協議会などで相談を受け付けてもらえます。
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