終活のコラム
自分で散骨するのはOK? ~法律や散骨場所の注意点を解説~
Q.家族が亡くなって、遺言で散骨してほしいと言われた場合、どうしたらよいでしょうか?
1番簡単な方法は、散骨業者に丸投げすることですが、
業者に頼らないで自分で散骨することは可能なのかについて検証していきます。
① 散骨とは
散骨とは遺体を火葬し、遺骨になったものを粉々に砕いて、その粉末になった遺骨を海や山などの自然の中に撒く埋葬方法です。
散骨はどこに撒くかによって以下のように分けられます。
散骨の種類について
□ 海洋散骨
海洋散骨とは遺骨を海に撒く方法です。
しかし海岸に行って、適当に海に遺骨を撒くということはNGです。
沿岸漁業をしている漁師、あるいは沿岸で養殖などをしている業者にとって迷惑だからです。
したがって海洋散骨の基本は船で沖に出て、誰にも迷惑ならない海域で散骨をするのがルールです。
ご自身で船を所有されていない場合は、希望する海域を運航する船をチャーターする必要があります。
□ 山林散骨
山の中に遺骨を撒く方法を山林散骨と言います。
山林散骨の場合は自分で所有している土地か、その土地を所有している人の許可をもらった土地でしか散骨できません。
また海洋散骨と同様、近隣に迷惑がかかる場所での散骨もNGです。したがって、近くに住宅があったりした場合は散骨できません。
ご自身で山林を所有されていない場合は、ご希望の散骨エリアの土地の所有者を調べて許可を得る必要があります。
(散骨に規制がないか当該自治体の条例も合せて確認しましょう。)
□ 空中散骨
ヘリコプターや、バルーンなどで上空で散骨するのが空中散骨です。
こちらに関しても、海洋散骨同様ご自身でヘリコプターやバルーンを所有していない場合は業者に頼む必要があります。
墓地埋葬法では定められていませんが、いずれの場合でも、国の指導として以下の場所での散骨は避けるようにと言われています。
・水源地付近や生活用水として利用される河川、湖、沼など
・漁場、養殖場、防波堤など
・公園や住宅地
・観光地や観光ルート
② 散骨は違法ではないのか?
ここで気になる点は、このような散骨は法律に違反しないのかということですが、
・墓地埋葬法との関係
墓地埋葬法4条1項は、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」と規定しています。
そして、これに違反した場合には1000円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられます(同法21条1号)。
それでは、散骨は墓地埋葬法4条1項に違反するのでしょうか。
◎ 「埋蔵」とは土に埋めることをいいますから、焼骨を撒くことは「埋蔵」にはあたりません。
(注)土に穴を掘ってそこに焼骨を撒き、土や落ち葉を被せる行為は「埋蔵」にあたりますので、同規定に違反します。
・刑法の遺骨遺棄罪との関係
刑法190条は、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。」と規定しています。
そのため、焼骨を散骨する行為は遺骨を「遺棄」する犯罪に該当するのではないかとも思えます。
しかし、遺族など遺骨を処分する権限がある者が散骨する行為は、遺骨遺棄罪には該当しないと解釈されています。
・条例との関係
上述のように、散骨は、墓地埋葬法、刑法には違反しませんが、自治体の条例で散骨について規制がされていることがありますので、
散骨をしようとする場所を管轄する条例を確認する必要があります。
散骨を行った人のマナーが悪く、住民とトラブルになったことなどがきっかけで、市町村が散骨禁止条例を施行させたケースや
農産物や海産物の地域ブランドや、観光地としてのイメージを保つために、散骨に規制を設けている自治体もあります。
・散骨でも違法になる場合
ただし散骨も埋葬方法によっては法律違反になります。
たとえば、自宅の庭に散骨をしてその上に記念に木を植えたとします。するとそれは墓地埋葬法違反になります。
なぜなら、記念に植えた木は法律上墓標だと判断され、墓標があるところは墓地だと認定されるからです。
日本にある墓地はすべて市区町村の許可を受けていなければならないため、自宅散骨をして木を植えてしまうと、
それは無許可の墓地を作ってしまったことになり、法律に違反してしまうのです。
(まとめ)
結論を言えば、自分で散骨することは可能です。ただし、自力で全てをするには数々のハードルを越える必要があります。
そのため、業者に頼むのが一般的となっています。
参考料金
・『海洋散骨』の相場は、10万円〜50万円ほど
・『山林散骨』の相場は、10万円〜25万円ほど
・『空中散骨』の相場は、30万円〜50万円ほど
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株式会社 三星
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